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「ミツバチの羽音と地球の回転」 〜選べる電力/民主主義を考えるチャンス、大切に〜

黄金町(横浜市南区)にある古い映画館ジャックアンドベティで「ミツバチの羽音と地球の回転」(鎌仲ひとみ監督作品)を観た。横浜での上映の最終日だったが、観客はまばらだった。平日ということもあり、観客席には比較的高齢の地元の人々が多い。瀬戸内海の島、祝島(いわいしま)に住むお年寄りたちの反原発への祈りのパワーを、同世代人として感じたのではないだろうか。
映画が終わったとき、拍手がおこった。

祝島の島民は、中電からの買収金を即日返金してから30年近く、上関原発反対運動を展開してきた。しかし裁判でも敗訴し、その後、アルバイターたちを雇った中電の埋め立て工事の強行着工を迎える。そして、今年、3月11日を迎え、現在に至る。
生きることを他人任せにしない、自立した祝島の人々の姿勢を尊敬し、応援したい。

帰宅してニュースを見ると与野党による相変わらずの足の引っ張り合い。
問題はリーダーシップ欠如だろうが、公約違反だろうが、政権獲得の手段であり、結局何でもよいのではないか。テレビでは有利に世論に訴えれば目的達成とでもいうような、表面的なコメントが多く、うんざりする。

民主主義ってなんだろう。「小さな声を大切にできる社会」ではないかと思う(異論はかまわない)。しかも祝島の人々が反原発を唱えるのは、生活のためだけではない。未来の地球や子供のためという公共の目的のためだ。
リーダーシップを求めるのは、依存心が強く、自立心のない日本人への逆戻り(現状か・・)が心配だ。政府が決めて、それが気に入るような社会があるのかどうか(おとぎ話のようだが)わからないが、わたしなら、何でも自分で良さを吟味して決めたい。
いずれにしても、いま、これまで隠されていたり、無視されていた危機や問題が見えるようになった。災害をより自分たち自身の問題として、未来を考える機会と思う。どんな未来を選択するかである。

<原発電源と政治の癒着>
政権と、東電をはじめとする大手企業の発信のすべてを取り持っているのは、陸軍広報担当出身の広告代理業者。長期政権とともに国民への影響は計り知れない。コントロールされた世論・風評のなかで、それをくつがえすには、現実を冷静にとらえ分析する心構えが必要と思う。

ジタバタするばかりだが、まずできることは、日常の中で、自分の眼で見る、考える、メディアリテラシー(情報が何でできているかの判断)をつけることと思う。
震災で、被災地や被災者とともに生きようとする人々が、隣の人を助け、NPOに連絡して食料を調達し、自立して行動したことは、生きていくための自然な行動で、ごくあたりまえだが、とても大事だったと思う。

これからも日本は、地震大国で、高齢化の進む社会。
必要なのは、10年後、100年後、1000年後の将来を考える視野と、地域での生活を、これからは、海外も含め責任あると考える公共精神だと思う。
この地震で、日本人にも本当の「危機感」が宿ってきたなら、それは、民主主義の本質に目を向ける一つの大きなチャンスだと思う。

原発に依存したり、依存させようとしたりする目的は、目先の欲望に対する利害の一致(安定供給による安定利益と安定政権)のため。欲望で結びついた絆で、原発電力による「電力ジャック(飛行機のハイジャックのような状態)」を引き起こそうとしてる。もう起きてるけど・・

「電源に対する本質的な社会ニーズは何だろうか。」
原発トラブル処理のニュースはこの問いを麻痺させる。原発を推進するかどうかではなく、原発以外の電源選択肢をもっと広げることだと思う。
持続可能なエネルギー政策、市民学習があって、電源の自由な選択ができるよう早くなっていけたらと思う。
by sasanoel | 2011-05-27 22:57 | 作品から