2011年8月6日
原爆から66年ということだ。
私は、高校1年の頃に日本を訪れている留学生たちと広島の平和式典に参加した。いまから25年・四半世紀も前のことになる。そのときの語り部に、同年代の広島女学院の学生がいた。戦争をしらない、原爆の直撃も知らない、被爆者の子供や孫たちだったが、すでに被爆者の高齢化の問題をしっかりととらえ、自分たちが新たな語り部として役割をもっていることを知っていた。

被爆した人々の住む街から新幹線で5時間の距離を帰省しながら、広島と横浜の時間と空間が隔てるもの、自分自身の記憶が隔てるもののことを考えていた。

被爆者とともに生きる広島の子供たちと横浜に住む私は、戦争や原爆を体験していないという意味では同じだ。しかし、距離が離れていることによって意識に隔たりがある。彼らに会ってそのことに気がつき、どんなにその想いを大切に感じても、生活をともにしない限り、リアルには感じられなくなっていく。人ごとになっていく。
年に一度、テレビや新聞の情報から知る事ばかりでは、どんどん風化してしまうだろう。そしてその風化に対する悲しみすら、いずれ消え去って、表面的には同じような平和な社会に生きているかのようになるのだろう。無意識になっていく。それこそが隔たりなのだと言うことを思っても、なす術もない・・・

「この想いをもつ人々と離れたくない。今こうして離れることは、どんどん忘れていくことだ」
広島から帰る新幹線のなかで、私には一瞬のうちに過ぎ去る焦燥感だが、語り部の子供たちにとっては、つねに現実で、もっとも切実な問題なのだろうと思った。


毎年NHKで見ている原爆慰霊式だが、今年は、原子力と核についてどのような発信があるのか、あらためて世界中が注目したと思う。アメリカの政府関係者の出席は2年目とのことだ。オバマはこないのか、と単純に思ってしまった。

3.11以来、震災と福島第一原子力発電所の事故を広島の人々がどう受け止めているのか、ずっと気になっていた。被爆者や、被爆二世、三世の彼らにとって、被災地の人々の心はとても近い場所あるのではと思っていた。

式典の発信は、松井一実広島市長をはじめ、子供代表、政府代表菅直人氏らは、一致して、被爆当事国として、被爆者への哀悼とともに、原発事故被害(被災)者の存在をはっきりと意識し、核廃絶に向けての宣言を行った。
核という人智を超えた存在への不安や危険に直面し、被爆者の意識の力を借りて、エネルギーとしての核を含むすべての核の廃絶をめざすということと思う。

広島・長崎を経験した被爆(被災)国日本は、今年、大量の放射能を排出することになってしまった福島第一原発を有する加害側の国となってしまったのだから。

広島で、長崎、チェルノブイリ、TMIで起きたこと、福島や女川だけでなく、日本中の54基の原発で起きるかもしれないことも含めて、すべてがつながっている。これまで多くの日本人にとって、距離や時間に分断されたことだったが、3.11以後は隣人のこととしてとらえなくてはならなくなった。
さらに、正確な情報を知ろうとする中で、自分たち自身のこととして考え、対処しなければならなくなっていくことだろう。被害の状況が明らかになるにつれて、被災地域と非・被災地域の境はあるいみ不明瞭になっていくだろう。

そんな原爆の日であるけれども、母は、夏祭りの準備に出かける。

パラレルであることは、願いでもある。
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by sasanoel | 2011-08-06 10:34 | 取材ノート
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被災者も非被災者もともに平和で楽しく暮らせる社会をめざして。2011.03.11 ご連絡、記事についてのお問い合わせ、取材依頼は筆者までメールで。sasanoel@gmail.com
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