大間原発計画に関する記者会見〜「あさこはうす」小笠原厚子氏、ルポライター・鎌田慧氏〜
11月25日、自由報道協会主催の記者会見で、青森県下北郡大間町に建設中の大間原発に親子2代で反対しつづけてきた小笠原厚子氏と、取材にあたってきたジャーナリストの鎌田慧氏が発言を行なった。二人の反原発家の言葉と、質疑応答の一部を紹介したい。

この記事は、ユーストリームのライブ配信で記者会見を視聴して書いたもの。
(iwakamiyasumi5 2011/11/25 08:41)
http://www.ustream.tv/recorded/18731291

<参考>
「大間原発の敷地内に立つ「あさこはうす」お金では買えない「宝の海」を次世代に(Actio)
http://actio.gr.jp/2008/12/09094527.html


<記者発表の内容>

スピーカー:あさこはうす・小笠原厚子氏、ルポライター・鎌田慧氏

鎌田慧氏「大間原発をなんとか止めたいとここに来ました。本州の最北端の西の方にある原発で、あまり知られていませんが、311のあと、青森の六ヶ所村や下北半島が知られるようになり(大間原発も)注目されてきたと思います。
小笠原さんのやっている「あさこはうす」は、小笠原さんのお母さん(あさ子さん)が、たった一人で(反原発の姿勢を)守ってきた経緯があります。お母さんは4年前に亡くなりましたが、厚子さんとその兄弟は、お母さんの活動を受け継ぎました。
いまから35年前(1975年)に着工、まだ完成していない。遠隔地や過疎地だから、原発がすぐ作れるというわけではないことの証明です。
計画は電源開発により、ここに作られるのは「フルMOX」といい、MOX燃料を全炉心に装荷できる原発です。きわめて危険で、反対運動がずっとありました。新潟の柏崎でも、佐藤栄佐久知事もずっと反対して、知事をおろされましたが、三分の1とか。「フルMOX」は大間原発だけ。
大間原発をやめる理由というのは、ここ「あさこはうす」で小笠原さんが畑をやり主張してきたことです。
この原発は、当初安全な場所にということで設計されましたが「あさこはうす」の活動で買収できず、200メートルほど原発を引っ越ししました。
原発から200メートルくらいのところに「あさこはうす」はあります。ふつう民家は500メートルは離れています。そういう異常な形で原発があるわけです。
お金を積もうが、ガンとして首を縦に降らず、日本ではめずらしい例です。とにかく、ひとりの女性が徹底的に原発に反対してきた。原発の敷地内に家があって、太陽光と風力の自然ネネルギーで暮らして、原発と向かい合って、隣り合って抵抗している。

そういう姿を伝えていただきたいし、伝えることによって、原発と行政のもっとも弱いところが明らかになると思います」

小笠原厚子氏「大間原発は、3月11日の事故後、建設はされていません。
なぜ母が反対してきたのかというと、海と自然があれば、人間はいきていける、いやなものはいやだということです。私もそう思います。母の意志を継いで、小さな太陽光と風力発電でやっています。電力会社に頼っていません。天候の問題で1日まかなうのは難しいこともあります。なので、いま、水力発電をやろうと思っています」


<質疑応答の一部>

たった一家族の反対活動に対して、
311後、周囲の人々の理解はかわりましたか?


小笠原氏「いままで口もきいてくれなかったし、しらっとした態度も多かったが、事故後は挨拶をしてくれたり、がんばれよという挨拶をしてくれる方が何名がいました。5名くらいです」

鎌田氏「原発ができると、町民は固定資産税もはいるし、地域で承諾するとお金がでるようになっているが、それはきわめて不安定。あいつが反対するから進まないという人がいる中で反対している。町長なども説得にくる状況。
畑にいく通路だけは保証しなくてはならないからあるが、1キロにもなる道を通っていかなくてはならない。あさこはうすに行くだけの道をパトロールしています。威圧、脅しです。
一般的に、原発は入る車をチェックする。前と後ろに車止めをおいて、通行証を確認する。昔、東ドイツから西ドイツに行くようなもの。いま、大間原発がそういう警備をしている。本州最北端の人目につかないところで、抵抗している人がいるということを知ってほしい」

暴力的な地上げはあったか?

鎌田氏「暴力的なことはなかった。金を積み、具体的な問題に対して会議を開いて、漁業組合が漁業権を放棄するようにしむけたり、ということを具体的に行えばよかったから、肉体的な暴力はない。人の意志を踏みにじることではある。それが原発の地上げ。
原発は創業すれば、地元の雇用はないから、原発はやっぱり危険だと言うことで、漁師は海のことに敏感で、反対されることがあるので、少しずつ交渉していく」

社会的な側面ばかり議論されている。
経済的、産業的な側面の問題はどう考えるのか?


鎌田氏「原発が止まったら産業がダメになる、原発が止まると企業が逃げてしまうとは、よくある議論。全原発54基のうち、現在10基しか動いていなくても、電力は間に合い、これから点検に入っても需給バランスに支障はない。
また、原発輸出産業にして、日本を発展させようという議論があるが、相手に危険を売りつけてバーターで儲けようというのはモラルの問題になっていて、経済の問題ではない。経済の問題は別に考えないといけない。まず、原発は危険であるから止めて、そのあと経済をどうするかと議論しなくてはならない。
「原発反対と言ったって、将来困るぞ」と言いうのを「抑止力」と言っています。抑止力としての核爆弾が必要、犯罪防止のため死刑は必要だ、とか。一番極端な条件を出しておいて、水戸黄門のように黙らせるのは論理的でないと思いますが、どうでしょうか」

小笠原氏「わたしは一番考えるのは日本の国という問題。アメリカ、ロシアは大国だが、日本は地震大国。日本に今回のような事故が起こる危険は必ずある。日本の経済は、原発ありきで原発に依存しすぎている。ほかの方法でもできるのではないか?という議論があっていいと思う。日本独自の方法ができると思います」

鎌田氏「追加ですが、この反対する論理を認めるかどうか。なぜ反対するかというと、「海と畑があれば生きていけるから」ということだが、彼女は、原発に依存していくのではなく、海と畑で生きていきたいということを言っている。作りたいなら、他の地域でつくればいい。農業と漁業で生活していきたいという事は、否定できない。それでは国が発展しないぞというのは、ちがう。人間は、人間としての理想で生きていく、それを主張するのがジャーナリズムであると思う」


自然エネルギー、あたらしい技術ということを考えていますか?

小笠原氏「蓄電という形でいろいろ進めていると思います。日本人はスマートな国民ですので、個人の家でスマートな蓄電ができると思う」


311後、何人か挨拶してくれるとのことですが、
子供の頃からの街の雰囲気は変わりましたか?


小笠原氏「わたしの子供のころは、うちは田舎だから家に鍵はかけなかった。近所は農家や漁業だから、誰もいないのに、夕方になると、台所に魚や野菜がおいてあったりする。原発がきてから、そういうことが破壊された。地域の今まで培ってきた営みを破壊された」

鎌田氏「原発の工事がおわっても、地域の風景はかわらないんです。工事の作業員はそこに住まず、地域の住民がのこっているから風景は変わらない。地域の中で、反対派や賛成派にわかれたり、家庭の中に賛成派と反対派ができたりする。
定住する人は、畑をやっていたり、漁民であって、そこに住み、仕事をしている。作業員はよそからきて、作業が終わると帰っていく。
それを、以前、魚や野菜をわけてくれたのは、地域の中の人が出稼ぎに行ってしまったというのがあるのかもしれない。原発があるから、地元にいることができる、ということもある。そういうふうに追い込んでおいて、出口を原発依存だけにするようなことを政治がしていいのか。「お前ら工事がなくなったら食えないから、工事の仕事に着け」というのは暴力的です。
もしくは、危険な点検などの作業に地元の人を使うと、地元でがんになったりするから、今は遠くから連れてきている。地域は変わっていない。風景も変わらない。4階建ての家は工事の人が住むためにはできるが、風景が近代化したりはしないんです」


着工予定は来年だが、実際はもう着工している?

鎌田氏「原発は申請して設置許可が降りてから着工するのが原則。それが法律。しかし、設置許可が降りるまえから、準備工事という名目で経産省が許可する。福島県知事の佐藤栄作さんは、泥棒と警察が一緒だといったが、監督機関が役割を果たしていない。チェックをしない安全保安院、発電と送電の全部を電力会社が持っている。これは独占禁止法に触れる。マスコミもほとんどチェックしなかった。311以降は少しずつチェックするようになったが、存在を問われて来ている」


311以降の選挙戦は反原発派より原発推進派のほうが勝っていますが。

小笠原氏「実際に賛成派が多いが、すぐイエスノーではなく、長い時間をかけてやっていいと思う。長いスパンで考えて、10年後にこうしよう。現時点では賛成派が多いですが、何年後にまた福島のような事故がおきた時に賛成といっていられないと思う」

鎌田氏「僕は10年20年と考えていない。5年とか、数年で決着つけないといけないと思っている。原発は国民の8割がノーです。反原発に関して、どう政治的に結集するかというのが問題になっている。
地域では、ご存知のように反対派が負けている。大間でも賛成派というか、前の議員が入っている。前の地域がそのままだから。反対派の候補者を作り出していないから。反対派候補を擁立できない地域は、反対運動が始まっていなかった。いま、脱原発の運動を強めていて、そこから候補を出す時間がかかるだけ。どう候補をつくっていくかという課題がある。どう選挙に結びつけていくかということだけ。世論はいま脱原発です」

今の鎌田さんの発言に関連して、下北半島だけでなく、そういった反対はあったが、住民が疲弊して、原発のことをいうのはタブーになっている。ここからのスタートで、再度、反原発運動をどう作っていくのか、お考えをお聞かせいただけますか?

鎌田氏「政治観点を打ち出す人がいないといけない。それはどういう主体が脱原発の候補を出していくかが問われる。社民党も共産党も考えているでしょうし、みんなの党もそうですかね。これからの選挙はそれが論点になっていくから、そうしたことを明確化する。そんなことは効果がないといっても、できることしかできない。
12月10日は渋谷で1000万署名運動をやる、2月11日も、東京と原発のある地域での一斉集会をやる。福島の郡山でも、渋谷でも1000万署名の集約集会をやる。
いま署名は200万くらいしか集まっていないので、あと800万で、1000万で政府要求するということを考えている。脱原発のためにやれることをやっていこうと。これは、子供でもできる。字を書ける人ができます。脱原発一致のために、悲観的に考えずに、楽観的にやっていく」

小笠原氏「国民投票がある。原発事故では、大人も子供もイエス、ノーの意見を言えたらいい。原発に対して一人ひとりが意見を言える国民投票があるといいなと思う」

鎌田氏「あさこはうすは、いま来る人が多くなって、あさこはうすの前で集会することも増えている。いままでは労働組合中心で、そこが引っ張っちゃうから組合に任せっきりになっていたが、いまは政党とか労働組合に任せている時代ではない。自分たちでやらなくてはならない。311以降、変わってきている所を書いたり、報道したりしてほしい」

電源開発の電気は東京に来る、原発で地域のきずなが断ち切られていたが、
東京に対しての憤りはありますか?


もっているとか消えたではなく、個人と仕事上のことがあると思う。個人は原発きらいだけど会社にではという立場がある。
だけれども、これからが問題なんですよ。私たちが安心して生活できるようにするにはどうしたらいいか。安心と安全はちがい。安全は必ず不安の1がある。安心は気持ちの問題。もともと会社は、風力、火力、水力でやっている。電源開発も原点にもどってやってほしい。
憎しみはあるが、これからなんです。今回の福島の事故をうけて考えていかなければならないと思っています」


今日は小笠原厚子さんがはるばる青森から来られるということで、ぜひお目にかかりたかった。わたしの状況で記者会見に行けなかったが、いつか、あさ子さん、厚子さんが大切に守っているすばらしい大間町の畑に、海に訪ねてみたい。
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by sasanoel | 2011-11-25 20:07 | 記者会見から
<< 脱原発世界会議、パシフィコ横浜... グリーンピースジャパンが、水産... >>


被災者も非被災者もともに平和で楽しく暮らせる社会をめざして。2011.03.11 ご連絡、記事についてのお問い合わせ、取材依頼は筆者までメールで。sasanoel@gmail.com
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