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グラスゴー取材を終えて、ぼんやり考えること

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現在、正直、自分自身の考えが完全には定まらないまま、状況の変化そのものに取材対応しようとしています。オリパラ開催のために組織委員会が見積もった費用の推移をみても大きく膨らんでいるので、その影響があるのかもしれませんが、当初あまりにも小さな、知られていないテーマとしてきたものが、今後は日本社会でも、戦争、平和、医療、福祉、市民活動、そしてもちろんスポーツ、アートと、さまざまな方面から注目される重要なモチーフとなってきていると感じています。

理想は、これらのさまざまな角度から、マルチにモデリングできる体制にして、取材、撮影、編集、配信のすべてを見直していきたいですが、実際は、状況を検討をするために必要なことを考える以前の段階で、わたし自身が答えのみつからない奮闘を繰り返している気がします。

結局、パワーアップしたメディア体制が必要と考えながら、経費削減しなくてはならず、一人+ボランティア、協力者で行っているのが現状です。しかしその経費もふくらんで、今年に入って経費だけで100万円以上を旅費に使っており、それ以外の経費を自分の給料、臨時のカンパ、借金などから補填してきました。

2013年9月に開催都市に決定してから、オリンピック界とパラリンピック界の統合がこれまでになく縮まってきています。それはあるいみ、自分も含む社会が望んできたことです。パラスポーツにとって、すばらしい飛躍のチャンスです。
それに対して、グラスルーツ的な甘え、ぼたもち的な幸運でここで取材を続けてきた自分自身が、あまりにも力がなく、すべての面において力の足りないことを感じています。

そして、何より、パラリンピックは不可能を可能に変えることを教えてくれるモチーフであり、けしてあきらめない選手たちの活動に触れることにより、その最前線にいるという立場を忘れてはならないと思います。自分に言い聞かせて、取材を続けています。

これからもこの選手たちによるパフォーマンスを伝えることができればと思いますが、オリンピック・パラリンピックがともに語られることにより、配信対象も広まり、伝達の可能性も高まってきていますし、情報発信の活動としてもその枠組みから考え直す必要がでてきていると思います。あらたなメディアも立ち上がっていますし、パラフォトの活動もリセットが必要と思います。

では、わたしがあるいは、ファンの取材者が取材をしているパラリンピック、パラスポーツはどこへ向かおうとしているのでしょうか。5年後がすべてではないことはわかりますが、ではその5年間の機会をどう過ごすのでしょうか。

そんな取材者の悩みより、ずっと前から、パラリンピック選手、競技をとりまく環境は「ハイパフォーマンス」にふさわしいものがもとめられています。
オリンピックとの正式契約が始まった北京大会では、競技の技術やレベルが大きく変化していくなかで、これまでの関わるスタッフもレベルアップ、専門化しなければならない状況を突きつけられた。もちろん、私たちも取材現場で培った技術や知識を活かせる取材環境を整えていかなければいけない。

そして、それによって、市民の社会や生活が何をどう享受していくことができるのか?ということを、取材者として自覚できるようなレベルまで突き詰めないといけない。まず知られていなければ、メダルの成果だけでも伝えることが重要だったが、開催国として約束された存在となった今、その先に、何を魅力として、その価値を伝えていけるのか。NPOメディアとしてどう関われるのか・・。
by sasanoel | 2015-07-25 15:28 | 取材ノート