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震災の現場は安全最優先で

この古い友人は、いつもわたしに大事な言葉をくれる。
「本当に自分のためにすることは、人のためにすること」
15歳の私が聞いた言葉とまったく同じことを今も言っていると思う。誤解されそうな言葉だが、誰もがこのことを、よく考えていけたらいいと思う。



朝日新聞2011年3月23日神奈川13版 12ページ
オピニオン・声

震災の現場は安全最優先で

大学教員 長瀬 修
(横浜市港南区 52)

「安全が確保されない限り、仕事はしないから。安心して待ってろ」。19日に福島第一原発での危険な放水活動をした東京消防庁総括隊長の富岡豊彦さんが、ご家族に寄せた言葉に心を打たれた。

大災害が引き起した事態は、ともすると、支援する方に「命がけで」という気持ちをさらに持たせるかもしれない。職務に命をかけてという気持ちは尊い。しかしそれが現実の命がけの行動とならないよう、ブレーキをかけることが緊急事態でこそ重要だ。

昨年亡くなった父は特攻隊の志願兵だったが、幸いにも生き残った。第2次世界大戦から学ぶべき教訓の一つは、二度と「特攻隊」を生み出してはならないということ。越えてはならない一線がある。

震災現場で活動して下さっている多くの方に心から敬意を表したい。プロは自らの安全を確保して活動することでみんなのお手本となってほしい。ギリギリの場面でも限界を見極め、自分のため、家族のため、そして社会ののために、必ず無事で帰るという心構えをお願いしたい。そして私たち社会は、「命がけ」の場面を生み出さないことに全力を注がなければならない。
by sasanoel | 2011-03-25 07:28 | 取材ノート