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お花見前夜の話

日和山公園から、河口、日和山大橋を望む
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日和山でのお花見には、当初賛否両論あった。
賛成派は、もちろん復興に向け前にむかう気持ちである。反対派は、日和山という場所が、素晴らしい石巻の景勝地であるだけに、抵抗を感じるようだ。
いま、その自慢の景色は、無惨な瓦礫が続き、津波の被害を雄弁に語っている。
瓦礫のなかでは、河口付近の岸辺に供えられ花がくたびれて、海を見つめている。津波にさらわれ、海にただよう遺体の帰りをいつまでも待っているようだ。

そんな被災地の桜の名所で、今年は、誰一人ブルーシートを開こうとする人はいなかった。

お花見の前日・4月30日に到着したわたしたち(今回は2名の同行者が、お花見の撮影と発信のお手伝いに来てくれた)は、石巻で会う人に日和山でのお花見について、お誘いもかねて聞くようにしていた。

日和山を散歩コースにしているおじさんは、「ここはお花見の名所なんだけどね、こんな景色でねぇ、お花見もやる気さおきねぇんだろうなぁ」と、別の散歩の一行と話していた。そう言いながら、被災地に新しく来たと思われるボランティアや市街からと思われる人たちに、しばし園内のツアーガイドをしていた。
60歳になるそのおじさんは、若い頃、トヨタ自動車のトップセールスマンだったこともあり、その話はテンポ良く、無駄もなく、宮城訛り(ズーズー弁)も聞き取りやすい。
帰ろうとしていたおじさんを呼び止め、解説を求める私にも、被災の時、被災後のこと、今の自分や家族のことなど、公園内を案内してくれながら、話が尽きなかった。家族はいるが、いまはわけあって一人暮らしをしているという。父と同じ、石巻商業高校の出身だった。

明友館避難所の従兄のヒロシ、叔母や叔父、南境の親戚、専修大のボランティアセンターの運営担当者たちにもお花見のことを話してみた。みな反応は微妙だった。日和山という場所が、石巻の人々にとって大切で、今は直視できるかどうかわからない悲しみの場所であることが、みにしみて伝わってきた。

しかし、反対だという人には、あまり会うことがなかった。もちろん、遠慮もしているのだと思うが・・
お花見のお酒というと、「馬鹿騒ぎ」「無礼講」というイメージもあるが、お酒にはいろいろある、ということを知っているのも、お酒好きの宮城の人らしく、理解があるように思う。

天気の良かった前日と違い、GW期間でこの日だけが雨の予報も皮肉な話しだった。
晴れさえすれば、なんとなく集まり、主催者が自腹で用意した地酒・吟醸酒「日高見」を飲みながら、分かち合いの時間を持つことはさほど想像しにくいことではない。果たして、地元の人々が集まってくれるのか?そんな心配をしながら、その夜は、名友館避難所に泊めていただいた。
by sasanoel | 2011-05-02 10:38 | 取材ノート